ハロー!ロバート・パーマー!

ブルーアイドソウルヴォーカリスト、ロバート・パーマーのファンブログ

イメージ通りの彼がそこにいた(ロッキング・オン 1979.9)

ロバート・パーマーインタビュー、今回はロッキング・オンの1979年9月号。

 

たったの1ページですがRPの人柄や意識が詰まっているいい記事。インタビュアーは渋谷陽一さん。やはりさすがです。ありがとうございます。新作についてとかではなく、日本のリスナーへの紹介というのが目的なよう。「失礼とは思うがイギリスのボズ・スキャッグス」と彼を形容。それで理解できるのか、当時の雰囲気がわからないのでわからないです・・・

写真があるのだけれど、奥に見えるのがどうにも日本風の建物に見える。載せたいけれど載せたら怒られてしまうのかな。もしかして日本に来ていたのかしら。日本についてはイギリスとの落差がなくカルチャーショックを受けなかったと語っておりました。(アメリカでは受けたらしい。イングリッシュマンインニューヨークを少し思い出す)

渋谷さんのズボンが良いと褒める一方、シャツはよくないといじり倒していたらしい。かわいいがすぎる。

 

黒人にはなれない

いくら黒人と同じように演奏しようとしても、結局黒人以上にはできないんだと気付いたときは非常にショックだった。そこから僕の音楽は始まったといってもいいネ。

 

黒人音楽に向き合うとき、リズム感とか声帯とか、もう生物的に越えられない壁があるなとは常々思っていたけど、まさか彼もそう思っていたなんて。好きだからこそ故に感じることなんだろうか。

ファン目線なので大目に見て欲しいんですけど、RPはもっとも黒人らしく歌う白人だと思っています。The Systemのカバー「You are in my system」を前情報なしに聴いたとき、うわ〜めっちゃ黒人ぽい、いや黒人そのものじゃんと素直に思ったんだけど、その後原曲聴いたら本人より黒っぽく歌ってるパーマー氏に仰天したものです。あれだけ歌いあげておいて諦めていたのか。うそやん。

 

今はコピーなどしようとは思っていないし、そうしたものに興味もない。確かに現在の僕の音の中には、黒人音楽、レゲエとかR&Bの影響はあるけど、それはひとつの素材にしかすぎないよ。

 

音楽とは

音楽に政治的なメッセージを持ち込むやつの気がしれない、嫌いというより憎しみに近いと語気を強めるRP。当時流行っていた(?)ブリティッシュ・レゲエには一家言あるようで。レゲエを純粋に愛するRPにとって、彼らのことは猿真似にしか見えなかったよう(なーんていってはいるものの数年後にはUB40とコラボしちゃったりしてるけど)。でも気持ちはわかるな。

 

きっとRPが憎しみを持っていたっていうのは、

www.udiscovermusic.jp

こちらに書かれている、

ミスティ・イン・ルーツ*1は、70年代後半に開催された反人種差別運動にとって重要なフェス、ロック・アゲインスト・レイシズムに、複数のパンク・バンドと共に出演。 同フェスでは、ネオナチ極右団体ナショナル・フロントに立ち向かうため、ザ・クラッシュやザ・ラッツといったレゲエに影響を受けたパンク・バンドが、ブリティッシュ・レゲエ・バンド勢と手を組んだ。

 

こういうところなのかな、と。本来、音楽は人を楽しませるためのものという思いが強い(とインタビューでも語っていた)RPにとってはそういうものに音楽が利用されるっていうのが耐えられなかったのかなと思う。気持ちはわかる。原発反対だ〜って言いながらばりばり電気使いまくってるフェスとか、じゃあこんなフェスやらんほうがよっぽど電気使わなくていいのではとか思ってしまう。思想はよくわかるけど、なんだかむず痒い。そんな感じ。

 

しかし、そんなこと言われてしまうと

 

白いレガッタ

 

これを思い出してしまう。(私ポリス好きなので)RP氏からみたら憎しみの対象なのかと杞憂。

 

 

それとはまた別に、なによりもRPを表す言葉、

 

音楽というのは仕事じゃないんだ。仕事になってしまったらオシマイで僕はだから何が何でもレコードを売ろうとか、競争してそれに勝っていこうとかする意思はないんだ。無論、こうやってインタビューに答えたり、プロモーションをしたりして多くの人に僕の音楽を理解してもらうように努力はするけど無理はしたくないネ。

 

 自由人と呼ばれる所以ですね。これぞロバート・パーマー。しかもそれをずっと体現できていた(と言い切って良いのかはわからないけど)っていうのは羨ましいと思う人も多いのでは。好きな音楽を好きなだけ追求してくれるほうがファンとしては嬉しいです。全てを肯定するのも盲目的と言われてしまうけど、それでも良い曲聴かせてくれる稀有な存在だと思っているので。だから好きなんだよなあ。

 

そのほかにアメリカのロックシーンに対しては、今のアメリカには創造性が足りないと一言。だって売れているのは「ダイヤー・ストレイツ」とか「ポリス」でしょ?どっちもイギリスが生み出したものだからね。

 

よかった・・・たぶんポリス嫌いじゃなさそう・・・笑

 

 

根っからのミュージシャン

そのままそっくり真似することだけなら誰でもできる。そこを自分なりの解釈ややり方に落とし込んで新しい音楽を作るのがミュージシャンってやつなのかと個人的には思っています。

まさにRPはミュージシャンであって、先人たちのカバーはただのカバーじゃなくて、彼なりの黒っぽさと軽妙洒脱な解釈で全く新しい曲に仕上げてしまうし、なんなら原曲よりよくね?ってなってしまうのが彼の凄さ。

黒人にはなれないというところから自身の音楽が始まっているというのを、渋谷氏は「屈折」ととらえていたけど、そんなにネガティブな感じじゃなさそう。自分の良いところを冷静に見つめた結果なんじゃないかな〜。なにより本人は音楽を楽しんでいるのだから。

あと私自身も音楽にイデオロギーを持ち込まれるのはなんだかもやっとしてしまうタチだから、RPの言いたいことはわかる。そういう政治的な側面を持っていてもいいとは思うけど。理解はするけど、私の求めるものとは違うな〜って。いろんな音楽があっていろんな聴き方があって当然ですけど。

 

いずれの言葉にもRPの「ミュージシャン」としての意識をはっきりと感じたインタビューでした。そういう気概が好きだし、こっちの想像じゃなくてはっきりと本人の口から聞けたというのが嬉しい。好きなアーティストには楽しく音楽作っていてもらいたいし。

 

 

【レゲエの流れについてはここを読みました】

teckiu.blog.jp

*1:反人種差別主義運動家と書いてあったけど、バンドでもあるみたい。知識がたりずすみません