ハロー!ロバート・パーマー!

ブルーアイドソウルヴォーカリスト、ロバート・パーマーのファンブログ

バンカラ・ブルー・アイズ・ヴォーカリスト(JAM 1980.2)

水上はるこさんという、ミュージック・ライフの名物編集者がたちあげた雑誌がこのJAM(ジャム)という。


ameblo.jp


MLのミーハー路線とは画した硬派な音楽雑誌だったらしい。すぐに廃刊となってしまうのは残念だが。




時は1980年。まだまだ日本になじみの無いロバート・パーマーその人が、その雑誌の発起人に、3ページ、しかもカラーで掲載されている。このことの重大さは計り知れない。さらに、硬派な雑誌に載ることの嬉しさ。ちなみに表紙はポリス(白いレガッタ)です。
水上さんもRPフォロワーだったということか。この後、高橋健太郎さんもミュージックマガジンにてRPを語っている。なんだ~もう~~~好きならもっとアピールしてよ~~~。という気がしてならない。




肝心の内容と言いますと、前述の通りあまり日本に浸透していなかったパーマーさんにも関わらず、とにかく熱い。中身も濃厚。水上さんの愛しか感じない。これは愛です。褒め殺してる。はちゃめちゃに嬉しい。ファンなら読むべき、と言いたいところですが入手はなかなか難しいですよね…




たたみます。


















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水上さんの目に映るRP像




・少年の日の清涼な輝きを残したブルーアイズ → わかる
ロバート・レッドフォードを彷彿とさせる甘いほほえみ → わかる
・男性的な強い意志を秘めたシャープな顎の線 → わかる
バハマの風の中でほどよく焼けた肌 → わかる
・セクシーなヴォーカル → わかる
・白いスーツを粋に着こなす → わかる




_人人人人人人人人人人_
> わかりみしかない <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄




やはり、パーマーさん、外見で語られてしまいがち。しょうがない、かっこいいから。

僕が誤解されているとしたら、その一点に尽きるだろうね。自分の容貌が嫌いではないけれど、ボクの音楽がそれによって単純に規定されてしまうのは心外だ



ははあ~その通りでございます。
でもちゃんと音楽性についても語られていますよ(ていうかそれがほとんど)





オーティス・レディングを敬愛



80年夏から秋にかけて、この雑誌では「Bad Case of Loving You」が大ヒットしたとある。大ヒットと言っていいのか…(こらこら)
とはいえこの頃流行の音楽というとディスコらしいので、その流れには乗らず純粋なロック(本人曰く肯定的なロック)をやったということになる。彼が好きな音楽を好きなだけやるということは紹介されつつも、彼の根本にはやはりソウルミュージックがある。オーティス・レディングを敬愛する純朴なソウルシンガー。気負ったり見栄を張ったりすることとは程遠い存在である、と。


で、オーティスに関する話というと、1966年のオーティスのヨーロッパツアーには仮病で学校を休んで、イギリス国内じゅうの公演を観て回ったというガチオタ。そういうガチなところ、好きです。好きなものには猪突猛進って感じがいいよね。





ゲイリー・ニューマンとの出会い


父が海軍にいたため生まれてすぐマルタ島に移り、10歳までそこで暮らした。波のリズムに魅かれるのはそのためかもしれない



1977年にロンドンのハムステッド(に、いたんだ!)からバハマのナッソーはライフォード・キーへ移住(こんなに場所詳しく書かれてるのは初めて!)。都会のせわしなく動くヒットチャートからはまるで無縁のような生活のように思えるが、音楽に対するアンテナは常に張っておられるようで…。
一週間に一度イギリスで発売されたシングルやアルバムをカセットで送ってきてくれる友人がいて、ヒットの有無に関わらずどんな曲が発売されているか確認していたそう。良い友人を持ったなあ。
後に語られる、RPはカセットテープオタク、というのはここでうかがい知れるのであります。
このとき持ち歩いていたカセットは、ポリス(嬉しい)、ゲイリー・ニューマン、マリアンヌ・フェイスフル、トーキング・ヘッズ(コンパスポイント仲間だ)など、とのこと。
それだけ聴くならウォークマンは欠かせないでしょうねえ。ステージに上がるとき以外は常にヘッドフォンをかけていたんだって。今の時代のこと、生きていたらどう思うのかなあ…。iPodとか、めちゃ便利だったよ。。。


この頃、次回の新作(Clues)に取り掛かかる前のようで、後にタッグを組むゲイリー・ニューマンとの出会いが書かれている。なんと、パーマーさん、当時ライブでゲイリー・ニューマンの「Cars」を歌っていたらしい。よう歌ったな!
で、それを耳にしたニューマンが楽屋に挨拶にきて、話が盛り上がって次回作には参加したいと申し込まれたんだって。このときまでは曲を提供してくれるのか、キーボード弾いてくれるのか、まだ未定だったようだけど、みなさんもご存知の通り、「Clues」ではプロデュースという形で参加しています。曲も数曲提供しているよね。


実はパーマーさん、ニューマンについては早々と目をつけていた。79年の来日の際、彼がチューブウェイ・アーミーというバンドを組んでいるときから「注目に値するすごい新人」と言って帰って行ったらしい。どんな置き土産だよ笑





名カバー・シンガー



パーマーさん、アルバムを全部自分の曲で埋めるということはまずしない。全曲自作というアルバムは無い。カバー曲と自作曲を組み合わせて、筋の通ったアルバムに仕上げているのだけれどその理由は、

全アルバムを自作の曲で埋めてしまうとどうしても作曲者のクセが表面に出てしまい、アルバムが単調になってしまいがちだ。それをアレンジだけで補ったところで、おもしろ味に欠ける。いろいろな個性をもった作品を入れることによって、一枚のアルバムの中でそれぞれの曲が競いあい、一曲一曲がみがかれて完成された曲になってゆく



からだそうです。俺がやったほうが曲がよくなるからだ!HAHAHA!というインタビューもあるらしいけど、、、
でも、これ確かにそうだよね。また、どんな曲を料理してるのかな?って楽しみにもなるし。またカバーするチョイスのセンスとかね。




さて、イギリスに住んでいた頃、一時期ヘロイン中毒に苦しんだこともあるらしい。まじか、そんなにか。エルキー・ブルックス嬢の自伝にもおクスリの話はあったので、ヴィネガー・ジョーあたりの話なんだろうか。「Pride」のジャケットもトリップしたときに浮かんだ絵というから、まあね、という感じ。タイムリーな話。そういえば「Pride」が配信されていないのはおクスリの影響が微レ存…?
てかおクスリに頼るってくらいだから、イギリス嫌いすぎじゃない?!?!
そんな感じに嗜んでおられたようなので、周囲に迷惑かけたとかそういう話は聞かないし例のアノ話も含め、用法容量を正しく使ってコントロールすりゃ大丈夫なんかいな、という感じですが、ただし。早死にします。ソースはパーマー。





オーディエンスとの距離感とポップミュージック


例えば某バンド*1などのコンサートをみていると、彼らは観客のエネルギーとはまったく別のところで勝手に歌を歌っている。僕は観客に自分のエネルギーを投影して、それが自分にリフレクトできるようなコンサートを行っているので、一方的なエネルギーの押しつけはいやだな



ドライなようで意外にも熱い。
さらに、ロック界で嫌われているコマーシャルという表現について一言。ここでいう「コマーシャル」が何を指すのかイマイチぴんとこなかったんだけど、私の知っている「コマーシャル」は宣伝とか広告とか商業に関わることと考えて読み進めた解釈なんですけど。あれかな、ロックが商業的になって、死んだとかなんとか言われてた時期かな?KISSとかピーター・フランプトンとか、そのあたり。


パーマーさんにとって、
コマーシャルというのはポップミュージック、ポピュラーミュージックとイコールである。
僕は自分の歌をその人自身の中で完結してしまうようなパフォーマーにはなりたくない。
自分の役目はオーディエンスにいかにコミュニケイトできるか、というところにある(日々の生活に寄り添う音楽、失恋したときとか落ち込んだときとかそういう曲を作ったり演ったりすることだと私は認識)。そして僕の曲で楽しんでくれる。つまり、そのときに僕自身はコマーシャルのような存在になる。僕は人々に向かって歌っているんだから。
だから否定的に考えるようなことではない、と思っている。


とのことでした。
突然なんの話だ?!と思ったけど当時は熱い議題だったんでしょうね。





今後など



1979年のシークレッツ発売後のツアーでは夏から秋にかけて約3カ月アメリカを回り、その後すぐの11月半ばには1カ月間のヨーロッパツアーに出ている。そんな中、12月のクリスマス頃生まれる予定だった第2子が1カ月早く生まれ、慌ててイギリスからバハマに戻るが、その3日後にはオランダへツアーをしに戻るというタフさ。大変ですね、本当に…
そんな息子の泣き声を聞きつつ、できたのが「Clues」ってことなんですね。この頃はまだレコーディングに入る前のようで、この年の春~夏に待望の日本公演を実現したいと語っていた。が、実現したのはしばらく先の話…


で、前回の来日(79年)が「幅広く日本のロック・ファンに聴いてほしいと自費で来日し、精力的に日本のジャーナリストたちに接した」とある。結果、紙面に載っているのはMLの水上さんのちょこっとした記事とロッキンオンだけでは…?冷たくない…?
なんかもう、渋谷さんのも「はーん、向こうのへんな外人がなんか言ってきたよ」という感じに思えてきた。。。めっちゃ尖ってるじゃんパーマーさん…ジャムの記事そんなことないのに…
そう思うと水上さんの熱い思いが伝わってきて嬉しい。それでも思い切り売れるのには85年まで待たねばならない。
本当にステキな人なんだけどな~。なんでかな~。生まれる時代早かったのかな~。それか早くに死にすぎたのでは~。。。


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そしてこのドヤ顔である。かわいい。

*1:まるみ的に伏せました